
このシンポジウムは、私たちの日常の心理臨床活動を検討し討論を深めていくことで、相互に交流しながら、思春期の心理臨床にとって大切な視点を共有していきたいというものである。
今回は、「思春期と現代の自己愛」というテーマで考えてみたい。
ここ何回かのシンポジウムでは、最近の思春期臨床の中で子どもたちの人格の幼児化が目につくことが取り上げられてきた。その流れの中で、子どもたちが呈する不適応行動や症状や現象をどのように捉えどう対応していくかについていくつかのテーマを設定して考えてきたが、どのテーマの場合でも自己愛の問題はいろいろな形で話題になってきたように思われる。しかし、それがテーマとして取り上げられることはなかった。
ひきこもり、自分探し、虐待や暴力、トラウマ、今どきの「うつ」、発達障害をめぐる問題、現代日本の家族構造や社会構造の問題、といった現象はまさに現代の自己愛の問題、現象と言えるのではないか?
自己愛は多様に定義され用いられてきたが、健康な自己愛から、未熟な、あるいは尊大な、幻想的な、万能感的な自己愛、そしてより病的な自己愛という、どのあたりの自己愛の様相や質が今の子どもたちの中に見られるのかを、事例に即して考えてみるのも意義深いと思われる。
私たちが、子どもたちと接していて「自己愛的だなあ」「ナルシスティックだなあ」と感じるのはどういうときだろうか?また、「自己愛」という観点から見直すと、私たちが日々接している事例でどのような質の自己愛の問題にふれることが多くなっているだろうか?そして、それを踏まえてどう対応していくのか?
つまり今回は、今の思春期の子どもたちが、どのような自己愛のあり方を呈しているか、それによっていかに適応(こころの成長)に難しさを生じているか、そういう子どもたちに対して私たちは、どのような支援をしていったらよいかを考えていきたい。
進め方としては、シンポジストの方々に、それぞれが日常臨床の中から、今回のテーマについて、事例を素材にしながら話題提供をして頂いて、議論していく。指定討論者は引き続き、乾 吉祐先生にお願いした。思春期心理臨床にとって大切なことがワクワクと、しかも実感を持って感じられるシンポジウムにしていきたいと思う。
思春期の子どもとかかわる医療、教育、福祉その他の領域の方々のご参加を呼びかけたい。
※ 臨床心理士ポイント申請予定
【思春期と現代の自己愛】 杉原 幹夫(杉原心理相談室)