
このシンポジウムは、思春期の心理臨床について、われわれの日常の心理臨床活動を検討し討論を深めていくことで、相互に交流しながら、思春期の心理臨床にとって大切な視点を共有していきたいというものである。
今回は、『思春期と幼児化』というテーマを考えてみたい。思春期の子どもたちの幼さについては、思春期の子どもたちに関わっておられる方々には10数年前から実感されていることではないかと思う。
葛藤を内で抱えるよりもストレスを感じるとすぐに行動化で発散することがより強くなってきており、反抗も青年期的な反抗というより幼児的な反抗になってきて、攻撃性の出し方や質も早期の発達段階のそれと同じような質を感じる、さらに、対人関係のもち方も思春期的なテーマが質的には乳幼児的な質のものがずいぶん含まれるようになってきているなどさまざまな側面で、「幼児化」を実感する状況が見られる。
「今まで経験したことのない幼さ」として表現されることもたびたびある。しかし個々の現場では、その場の対応に追われて、気になりつつもやり過ごされてしまっているのではないかと思われる。
今回 このテーマを考えたとき、実際、どのように現場で幼児化(幼さ)が実感とし感じられているのか、また、そのことについてどう考え、どのような対応が工夫されているのか、あるいはどのように考えていけばよいのか。各領域の専門家から、その実感と考え、そしてかかわりを問題提起して頂き、一緒に「思春期の幼児化」について真正面から考えてみたい。
進め方としては、シンポジストの方々から、それぞれが日常臨床の中で、『思春期と幼児化』というテーマについて考えていることを、事例を素材にしながら話題提供をして頂いて、議論していく。そして指定討論者には、昨年に引き続き、思春期の心理臨床を初め、幅広く奥深い臨床感覚を我々に提供し続けてきておられる乾 吉佑氏にお願いした。思春期心理臨床にとって大切なことがワクワクとしかも実感を持って感じられるシンポジウムにしていきたいと思う。
今回も、時間もしっかり取って、有意義なシンポジウムにしたいと企画した。フロアの積極的な参加を期待したい。思春期を扱う心理臨床家のみならず、思春期の子どもとかかわる医療、教育、福祉その他の領域の方々のご参加を呼びかけたいと思う。
※ 臨床心理士ポイント申請予定
杉原 幹夫(杉原心理相談室)