
このシンポジウムは、私たちの日常の心理臨床活動を検討し討論を深めていくことで、相互に交流しながら、思春期の心理臨床にとって大切な視点を共有していきたいというものである。
今回は、思春期における『甘えと自立』というテーマで考えてみたい。日本の文化において『甘え』(土居)という概念は、こころのあり方やその発達を理解するうえで重要である。また最近の心理学の動向においても、『甘え』理論との関係が注目されているアタッチメント(愛着)理論の発展もみられている。
ところで、心の健康を保ち、社会に適応するための土台である『甘え』の重要性について、一般的にどの程度、着目されているのだろうか。私たち支援者は、子どもたちの幼く見える言動を「甘えている」と捉えたり、「どこまで甘えさせたらよいのか」と戸惑ったりすることも多い。また、子どもたちにおいては、うまく人に頼れず自分で抱え込んで身動きがとれなくなっていたり、問題行動や身体症状で示したりする(ゲームやネットなどに過度に依存し、抜け出せなくなることなど)様子が見られる。これらのことを『甘え』の視点で捉えていくことで、理解を深め、かかわりの手がかりを考えていけるのではないだろうか。
そこで今回は、思春期における『甘えと自立』の意味を考えつつ、子どもたちの援助にどのように役立てていくかについて考えてみたい。進め方としては、シンポジストの方々に、それぞれが日常臨床の中から、今回のテーマについて、事例を素材にしながら話題提供をして頂いて、議論していく。指定討論者には引き続き、乾 吉佑氏にお願いする。思春期心理臨床にとって大切なことがワクワクとしかも実感を持って感じられるシンポジウムにしていきたいと思う。
思春期の子どもとかかわる心理臨床家のみならず、教育、医療、福祉など幅広い領域の方々のご参加を呼びかけたい。
※ 臨床心理士ポイント申請予定
「思春期における『甘えと自立』」 岡田 幸彦(トポスの森)